ワクチン全般について
ワクチンプランとは?
ワクチンはいつから打つの?次打つのを忘れてしまいそう。定期接種と任意接種の違いは?など、さまざまな疑問や不安があると思います。それに対する当院の取り組みについてご紹介します。最も早く打つワクチンは、生後2か月の初日(2か月の誕生日)に始めることができます。例えば、4月25日生まれの赤ちゃんは6月25日から接種可能となります。
そもそもワクチンは本当に必要なのか? 子どもに害はないのか?
ワクチンは一部には飲むワクチンもありますが、多くは注射によって痛みを伴うワクチンです。わざわざ痛い思いをしてまで、なぜ打ったほうが良いのでしょうか。それは、この世には感染してしまうと死または重大な神経障害などを起こす病気が常に潜んでいるからです。その病気がいつ誰に起こるのかは分かりませんが、ワクチンによる予防をしないと、必ずその犠牲となる子どもの数が増えてしまいます。逆に、なるべく多くの子どもにワクチンを打っておけば、知らぬうちに救われている命があります。実際に、Hib(ヒブ)や肺炎球菌ワクチンの普及は、日本の赤ちゃんの髄膜炎とそれによる死亡や神経障害の数を劇的に減少させました。
一部の免疫が弱い子どもにとってはワクチンは有害となり得るものですので、そのような子どもたちはワクチンによる予防が困難なことがあります。しかし、そうでない多くの子どもにとってはワクチンは圧倒的に有益であると言えます。さらに、なるべく多くの子どもたちがワクチンで予防することによって、社会から病原体を排除し、ワクチンを打ちたくても打てない子どもたちを守ることも可能となります。
ワクチンの種類
5種混合ワクチン(Hib、百日咳、ジフテリア、破傷風、ポリオ)
接種対象と回数:生後2か月以降(2か月の誕生日から打てます)。計4回接種します。
目的:Haemophilus influenzae b(Hib)という細菌は、髄膜炎(脳の感染症)を起こして脳に永続的な障害を起こし得ます。乳児百日咳は従来の治療が間に合わずに呼吸障害を起こして死亡するリスクがあります。破傷風は傷口から感染し、全身の麻痺を起こす死亡率の高い疾患です。ジフテリア、ポリオはいずれも日本国内では稀少ですが、感染すると致死的経過または永続的な神経後遺症を残すリスクが高く、それらの予防目的に接種します。
肺炎球菌
接種対象と回数:生後2か月以降(2か月の誕生日から打てます)。計4回接種します。
目的:肺炎球菌による髄膜炎、敗血症を予防する目的に接種します。
B型肝炎
接種対象と回数:生後2か月以降(2か月の誕生日から打てます)。計4回接種します。
目的:B型肝炎ウイルスによる肝硬変や肝臓がんを予防する目的に接種します。
ロタウイルス
接種対象と回数:生後2か月以降(2か月の誕生日)から出生 14 週 6 日まで。
目的:ロタウイルスによる乳児胃腸炎の重篤化や脳炎を防ぐ目的に接種します。
Hib(ヒブ)
接種対象と回数:生後2か月以降(2か月の誕生日から打てます)。計4回接種します。2024年4月から、Hibワクチンと4種混合ワクチンが合体し、新たに5種混合ワクチンが登場しました。そのため、Hibワクチンは徐々になくなっていく予定です。
目的:Haemophilus influenzae b(Hib)という細菌による髄膜炎(脳の感染症)を予防する目的に接種します。
4種混合(百日せき、ジフテリア、破傷風、ポリオ)
接種対象と回数:生後2か月以降(2か月の誕生日から打てます)。計4回接種します。
目的:乳児百日咳は呼吸障害を起こして死亡するリスクがあります。破傷風は傷口から感染し、全身の麻痺を起こす死亡率の高い疾患です。ジフテリア、ポリオはいずれも日本国内では稀少ですが、感染すると致死的経過または永続的な神経後遺症を残すリスクが高く、それらの予防目的に接種します。2024年4月から、Hibワクチンと4種混合ワクチンが合体し、新たに5種混合ワクチンが登場しました。そのため、4種混合ワクチンは徐々になくなっていく予定です。
BCG
接種対象と回数:生後5か月に達した時から生後8か月に達するまで(標準的な接種期間)。計1回。
目的:結核を予防するためです。2018年の新規結核患者は全国で15,000人以上発生しており、決して珍しすぎる病気ではありません。こどもでも感染するため、早期からの生ワクチン接種で予防が推奨されています。
水痘(みずぼうそう)
接種対象と回数:1歳から3歳までの間に2回接種します。2回目は初回から3ヶ月以上あけます(標準的には6か月から1年)。
目的:重症水痘感染症を予防するために接種します。妊婦さんが感染すると、胎児に重大な後遺症を残したり(先天性水痘症候群)、新生児に重症の水痘を発症するリスクが高まります。また、免疫不全患者さんが感染すると、重症水痘感染症を起こし得ますので、集団免疫の観点からも接種率の向上が重要となります。
麻疹風疹(ましんふうしん)
接種対象と回数:1歳になってすぐの第1期と小学校入学前1年間の第2期にそれぞれ1回ずつ計2回接種します。
目的:麻疹(別名:はしか)は、感染力が非常に高く、合併症として肺炎や脳炎などを起こし得ます。風疹は「3日はしか」とも呼ばれ、妊婦さんが感染して赤ちゃんに重度の障害を起こす可能性があります。これらを予防する目的で接種します。
おたふくかぜ
接種対象と回数:定期接種ではありませんが、日本小児科学会は1歳と小学校入学前1年間の計2回接種を推奨しています。
目的:おたふくかぜによる合併症を予防します。おたふくかぜになると、発熱や耳下腺(耳の下にあるだ液腺)の腫れが生じて、さらに頭痛をきたす髄膜炎や難聴、精巣炎などの重い合併症があります。
日本脳炎
接種対象と回数:第1期は計3回で、標準的には3歳で2回(1~4週間隔)、その後に6ヶ月以上あけて4歳頃に1回接種します。また、9~12歳に第2期の追加接種(1回)をします。
目的:日本脳炎は、日本脳炎ウイルスを蚊が媒介することで感染して、急性脳炎を引き起こします。脳炎は死亡率が20%程度で、それ以外にもおよそ半分以上の人に神経の後遺症を残します。特異的治療がない重篤な疾患ですので、ワクチンでの予防がとても重要となります。なお、流行地域では、生後半年から接種することもあります。愛知県では、未だ豚からの日本脳炎ウイルス検出がないため、通常の3歳からの接種が一般的です。
2種混合ワクチン(DTワクチン:ジフテリア、破傷風)
接種対象と回数:11歳以上13歳未満(11歳時に接種を受けることが望ましい)。ジフテリアと破傷風の第1期の予防接種として4種混合(DPT-IPV)ワクチンまたは3種混合(DPT)ワクチンを接種した人に第2期の予防接種として1回接種します。第1期の予防注射は0〜1歳時に接種しますが、最後に接種してから10年程度で効果が弱まるため、このDTワクチンは11歳時に接種することが望ましいとされています。
目的:2種混合ワクチンはジフテリアと破傷風の発症を予防するのが目的です。
ヒトパピローマウイルス
接種対象と回数:小学6年(中学1年)~高校1年の女子。ワクチンは2種類ありますが、いずれも決まった接種間隔で計3回接種します。
目的:子宮頸がんを予防するためです。