お腹にはいろいろな臓器があるので、腹痛の原因は様々です。その中でもとくに注意しなければならないのは、虫垂炎、腸重積、女の子の場合は卵巣捻転、男の子の場合は精巣捻転などです。これらが疑われる場合にはすぐに病院に行きましょう。
虫垂炎(盲腸と言われたりもしますが、正確には盲腸は臓器の部位の名前ですので病気の名前ではありません)は、お腹の右下を痛がることで有名ですが、診断は難しいことも多いのが実際です。初めはただお腹がなんとなく痛いだけということも多いので、お腹の痛みは注意が必要です。痛みが軽い段階では診断がつかない場合があります。様子見となった場合でも症状に変化がないかを常に注意しましょう。「初めは軽い腹痛で様子見となったが、後で症状が悪化して虫垂炎と診断される」という例はよくあります。
腸重積は小さい子に起こりやすく、腸が折り重なって詰まってしまう病気です。長時間治療されないと、血流が途絶えて腸が腐ってしまうことがあるため、確実に診断して早期に治療することが重要です。頻回の嘔吐、不機嫌、血便(いちごジャムのようなと言われます)などが症状ですので、これらがある場合はすぐに小児科医に診てもらいましょう。
卵巣捻転は幼児にも起こり得ます。なんらかの理由で大きくなった卵巣(ほとんどが奇形腫)が原因で、卵巣が捻(ね)じれてしまいます。お腹の下のほうを強く痛がる場合は注意が必要で、疑われる場合はすぐに病院に行きましょう。
精巣捻転は、ぶら下がっている精巣が捻じれてしまうことで生じます。放っておくと精巣が死んでしまいます。早期に捻転を解除する必要があり、一刻も早く病院に行かなければなりません。
これら以外にも、稀ではありますが一刻も早く治療しなければならない病態はありますので、腹痛が強い場合や状態がおかしいと思った場合は早期に病院受診しましょう。