子どもの皮膚疾患

 皮膚の病変は多彩です。人間は生まれてすぐに外界にさらされます。皮膚は外界との接点であり、皮膚と外界との攻防や、皮膚の外界への順応など様々な反応が皮膚では起こります。

 多くの子どもは生まれてすぐからポツポツとした発疹が生じます。新生児ざ瘡、乳児脂漏性湿疹などがほとんどで、これらは日常的なケアを注意することで自然に治ります。しかし、稀に菌が悪さをして全身の皮膚が赤くなってはがれてしまう重症疾患もあるので注意が必要です。

 アトピー性皮膚炎は生後数か月で発症することもある、やっかいな皮膚のアレルギーです。洗ったり保湿するだけでは改善せず、それどころか放っておくと食物アレルギーのリスクとなりますので、きちんと診断して治療することが必要です。当クリニックでは、早期からきちんとアトピー性皮膚炎を診断し、適切な治療を指導し、しっかり治すことを目指しています。なんとなく、「ひとまず軟膏を出しておくので、これを塗ってみて困ったらまた来てください」というような治療はしません。きちんと病名を保護者に伝え、子どもと保護者とクリニックが一緒に治療していきたいと考えています。アトピー性皮膚炎でよくないのは、治らない治療を延々と続けたり、放置してしまうことです。また、治療してもすぐ悪くなってしまうからといって、治療をあきらめてしまっていることもありますが、子どもの発達のことを考えるとよくありません。

 皮膚はさまざまな感染症も起こします。とびひ、水虫(こどもでも結構あります)、みずぼうそうなど、それぞれ治療が異なります。蜂窩織炎は皮膚の細菌感染症で、入院治療が必要となります。

こんな時はすぐに受診を!

 皮膚が赤く腫れて痛みがあり、さらに発熱がある場合は、蜂窩織炎などの重症皮膚感染症である可能性が高いので、なるべく早期に受診してください。また、皮膚の異常に加えて、眼が赤い、口の中が荒れている、おしっこをする時に痛がる、などの症状があるときは、重症の薬剤の副作用などである可能性があるのですぐに受診してください。